HOME | メンテナンス

Maintenance

メンテナンス

以下にご自身で出来るメンテナンスの方法をご紹介いたします。

 

     

弦の交換

弦をチューニングしやすくセットするのはとても大切なことです。

具体的には弦の巻き方になります。弦の交換はすべてのプレーヤーに必須なのでここでは弦の交換を説明します。また、使用するにつれて弦が伸びてくるとペグの角度が変わってきてチューニングするのに回しづらい角度になってしまうこともあります。そんな時は一度弦を外して巻き直すことでペグの角度を調整します。
用意するツール:
  ・4B〜10Bの鉛筆
・ペグスムーサー
・ニッパー
・瞬間接着剤
・毛抜き
 
 
 
 
 

弦を外します

弦を交換する時は全部の弦をいっしょに緩めずに一本ずつ交換します

全部の弦を外してしまうと駒や魂柱が倒れてしまう恐れがあるからです。
弦の交換はすべていっしょに替えた方が効果的です。弦は張っているうちに伸びてきて伸縮性が劣化してゆきます。古い弦と新しい弦をいっしょに使うと伸縮性にばらつきが出来て、音色やレスポンスのバランスが整わなくなります。
同時に交換した弦の内一本が寿命で切れたら、そろそろ交換の時期と考えて他の弦も交換するほうがお得な効果を得られます。
ただし、バイオリンのE線は例外です。
バイオリンのe線は他の弦より駒にかかる力がたいへん大きく、他の弦と比べて支配的だからです。また、多くは細い金属線で他の弦に比べて劣化しやすく、錆びやすい(=消耗しやすい)からです。そして何よりも、1番線は「歌う弦」なので輝きを失うと本来の状態ではなくなります。
E線は弦の状態をみて、錆びてきたり、音にノビが無くなってきたら単独でも交換しましょう。
 

弦を交換する順番

巻いた弦が他の弦にぶつかってチューニングを邪魔しないようにするのはとても重要です。 

弦を交換する順番

バイオリンの場合の順番

弦を変える順番はネックに近い方からがよいと思います。バイオリンならG>E>D>A、ビオラ・チェロならC>A>G>Dの順番です。
こうすることによってペグに上を通っている弦の位置を確認しながら弦を張ることができます。楽器によってはペグボックスの構造が狭かったり、またペグの配置の都合で巻いた弦が他の弦にぶつかり合いやすいことがあります。
 
 
 
 
 
 

ペグの状態をチェックします

摩耗してきたペグ

摩耗してきてきたペグの例。定規を当てて光にす
かすと表面の凹凸がわかる。

ペグ(糸巻き)がペグ穴にしっかり合致しないと精密にチューニングするのは難しいです。しっかり合致しないとペグが回らなかったり、すぐに緩んでしまったりします。
ペグ、およびペグ穴は弦の張力を受けながらチューニングの度に回転するので徐々に摩耗します。ペグ、ペグボックス(糸倉)の材質によっては部分的に摩耗しやすくペグのテーパー(円すい)の偏芯、ペグ穴の歪みを生じることがあります。また、木材なので経年変化で変形することもあります。
 
このような場合はペグ、ペグ穴を修正することが必要になります。テーパーがしっかりしていないとペグの動きを潤滑にさせるペグスムーサーを塗ってもあまり効果は望めません。
 
摩耗したペグ穴

ペグボックスに良く当たっている元の方は光沢
しているが、当たっていない先端側はかすかに
しか触れていない。

弦を外したら弦を巻く前に弦無しでペグをペグ穴に差し込んで回転させます。弦を巻かずにペグをペグ穴に入れてみるのです。完全に差し込んだ状態で、もしペグにぐらつきがあったら、ペグ穴とテーパーが一致していません。
次にペグを回してみます。回転する角度によってひっかかりがあったり、回している時にペグが穴から出入りする場合は、ペグに偏りがあるかペグ穴が歪んでいます。
このような場合はペグ、ペグ穴のいずれか、または両方の修正が必要です。
 
 
 
 

弦を通す穴の位置を確認します

ペグ穴が真ん中にある正しい状態

弦を通す穴の位置を確認する

ペグ穴が真ん中にない偏った状態

穴が壁に近すぎると弦が詰まったり、巻いた弦が
ペグの回転を阻害したりする


ペグを差し込んだ状態で弦を通す穴の位置がペグボックスの壁の真ん中くらいの正しい位置にありますか?もし、穴がどちらかの壁に寄り過ぎていると弦が詰まったり、今巻いている弦が邪魔になってペグがスムーズに動かなくなることがあります。このような場合は、ペグの弦を通す穴を開け直すことが必要です。
 

弦を巻く準備をします

弦とナット

ナットの溝に鉛筆の黒鉛を塗ります

弦はナットと駒につけられた「溝」の上を通ります。弦を張った時にこの部分の摩擦が大きいとペグを回し終えたあとでも弦が引っ張られることになりチューニングが安定しません。ここの潤滑が悪いと弦が徐々に伸びることになりチューニングが落ち着くのに時間がかかることがあります。ですからこの部分に4B〜9Bくらいの柔らかい鉛筆の黒鉛を塗って弦を滑りやすくします。
 
 
 
 
 
駒の溝に鉛筆の黒鉛を塗ります

駒の溝にも鉛筆の黒鉛を塗ります

駒の弦が通る溝についても同様です。ここの潤滑が悪いと駒が前方に引っ張られて傾いたり、反ったりする原因になります。
 
 
 
 
 
 
 

ペグが潤滑に動くようにします

ペグの動きを潤滑にするにはペグスムーサーをペグの接点に塗ります。塗ったペグスムーサーは摩耗によるゴミや圧縮によって徐々にかたくなります。弦を交換するとき、ペグの動きがかたくなった時は、ペグを一度ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどで拭いて掃除し、新しくペグスムーサーを塗り直します。
ペグ側にペグスムーサーを付けた後は、ペグをペグ穴に挿入し回転させて穴側にも十分塗り付けます。数回繰り返すと両者の間に適度な感じでスムーサーの「層」ができてスムーズにペグが回転するようになります。
 
 

弦を巻きます

テールピースにボール、ループがついている方の端を取り付けます。アジャスターがついている場合はネジをあらかじめ高くしておきます。音を高くするのに十分な余裕がある状態(つまり、ネジを長くする)にしておきます。ネジを回すのが硬い場合はネジの先にグリスをすこ〜しだけつけてネジの潤滑を良くしておきます。
 
 
 
そしてペグの弦を通す穴にもう一方の端を挿入します。挿入した弦の端はペグボックスの底にぶつからないよう1~2mmほど穴から突き抜けるようにします。挿入したらペグを回し弦を巻き始めます。A線の場合は、穴に通した弦の左側を最初に通します。
 
 
 
 
私は通常、最初の1巻きを弦が交差するように巻きます。こうすることで一周目を巻いた弦を2回目の巻きがしっかり押さえられます。しかしながら、弦を交差させることによって他の弦に障って邪魔になったり、ペグボックスの底に当たってしまうような場合は弦を交差させないで巻きます。A線の場合は、穴から突き出た弦の端の向こう側で弦を交差させます。
 
 
 
重要なのは、
・弦を二重、三重に交差させて巻かない(音程の変化が連続的でなくなったり、弦を噛んでペグがまわらなくなったりする)
・弦を詰まらせたり、他の弦に邪魔しないように巻く
ということです。穴とペグボックスの壁の間で弦が詰まってしまうと挟まれて弦が切れる原因になります。
 
 
最後に弦がペグボックスの壁に触れるかギリギリの位置にします。
ビオラ/チェロの場合の注意
バイオリンの場合は楽器ごとに本体、振動弦長の差が少ないのでメーカーですでにほぼ適した長さで弦が作られていますが、ビオラやチェロの場合は楽器によって寸法が大きく異なり弦の余分が長過ぎることが多いです。その場合は適度に余分な弦を切って弦がつまらないように気をつけます。ペグボックスの形状、ペグの配列は楽器によって様々です。弦の巻き方を工夫しなくてはいけないこともしばしばです。問題がある場合は専門の技術者に相談しましょう。
 

すべての弦をチューニングします

基準のラ(LA、A)の音をとってすべての弦をチューニングします。
チューニングは音を低い方から高くしながら目標の音程にあわせます。つまり張力を上げながらです。音の高い方から弦を緩めながらあわせると音程が安定するのに遅延があります。必ず低い音程から張力をあげながらチューニングしましょう。
 
どんな弦でも弦は徐々に伸びて張力が安定するのにいくらか時間がかかります。特にガット弦の場合は最初に伸びる度合いが大きいので安定するまでに時間がかかります。ですので最初に”マッサージ”をして弦をほぐしてあげると早く安定します。
親指と人差し指で弦を横に押しのばし、これを弦の長さ方向に対して上下に移動させながら連続的に行うとよいです。
 
 
 
 

ペグの角度を調整します

楽器を構えたままチューニングしやすい状態にペグの角度を調整します。 バイオリン、ビオラの場合、楽器を構えながらチューニングするのでペグの角度によっては左手でペグを回転させづらくなります。ペグボックスの「頬」に対してペグが平行だとペグが回しづらいので、常にチューニングしやすい角度を保つために弦の長さを切って調節します。
 
 
 
 
 
 
 
上の写真のようにペグが回しづらい位置にあったら一度弦を緩めて弦の先端を取り出します。弦のニッパーで2~3mmくらい弦の先を切ります。
切ったら弦に巻いてある糸がほつれないように瞬間接着剤をわず〜かにつけて糸をブロックします。
接着剤が乾いたらもう一度弦をペグに巻いてチューニングします。一度曲がった弦がうまく穴を通らない場合は毛抜きを使って作業するとラクです。毛抜きを使うとペグ穴を突き出る弦の長さを調整しやすいので突き出た弦の余分の長さでもペグの角度を調整することができます。
ペグの角度が丁度良くなるまでこの操作を繰り返します。
ペグボックスの右側と左側で若干感覚がことなりますが、だいたいペグボックスの「頬」に大して90°から前方に20°くらいまで傾けてあると楽器を構えた状態でチューニングしやすいです。
 

 
駒の立て方はとても重要です

駒がしっかり立っていることはたいへん重要です。

弦の振動を楽器のボディに伝えるのは駒です。駒の位置や(駒の基準面と表板の)角度は楽器の状態や駒をセットした人のスタイルによって異なります。ですので、正しい駒の状態を認識できるようにしましょう。
バイオリン駒
駒の状態を確認します。
駒の確認はケースから楽器を取り出した時に行いましょう。
(1)正しい位置にあるか
(2)駒が傾いていないか(足が隙間なく接地しているか)
(3)駒が反っていないか

 
 

駒の位置は正しい?

駒の位置とは駒の足を置く位置のことです。

駒の位置設定はたいへん繊細で0.5mmずれても音が変わったりすることもあります。一般的にはf字孔の内側の切り込みの位置に張った弦が指板の真ん中に来るような位置になりますが、楽器の状態により例外の場合もたくさんあります(古い楽器などは例外の方が多いといえます)。既に駒がセットされている状態では”f字孔の内側の切り込みの位置”と"f字孔の目の位置または指板の端のカド"をたよりに駒の位置をみると確認する頼りになります。上下方向の位置はf字孔の切り込みの位置を、横方向の位置はf字孔の目(上の穴)または指板のカドの位置を「目印」にみます。
 
<<技術的な説明>>
新しく作る駒の位置は、ネックの長さ、楽器ボディの中心線、f字孔の配置、表板裏側に貼付けてあるバスバーの位置等を考慮して決めます。ですので駒をセットする時に「正しい」というか「ちょうどいい駒の位置」の判断は楽器の状態、セットアップする人の考え方によって若干異なります。異なると言ってもバイオリンの場合には0.5~1.0mmというようなわずかな誤差の範囲です。
ですから正しい位置の見極めは馴れないと難しいです。正しい位置がよくわからない場合は技術者に相談して正しい位置を確認しましょう。目立たないような「サイン」をつけてもらうとよいかもしれません。
 

駒の角度は正しい?

駒はまず足がしっかり接地していることが重要です。

駒を立てる位置

駒の後方の面が 表板に対して直角にセットされて
いる例

まずは駒の足に隙間がないことを確認します。隙間がある場合は駒が明らかに傾いています。隙間がない場合でもわずかな傾きや駒の反りを起こしていることがあります。このような場合は正しい角度に戻し、起立させるのが肝要です。
駒の角度はセットした人の作りによって角度を判断する基準が異なります。大まかに分類すると以下の通りです。 
・後方面側が表板に対して直角
・前方面側が表板に対して直角
・断面中心が表板に対して直角
基準の面を考えながら駒足と表板の接地面に隙間が無いように駒の角度を変えます。駒の足が楽器にしっかり接地していない場合は調整が必要です。基準の角度が良くわからない場合は技術者に相談して正しい駒の角度を確認しましょう。
 

駒の状態は正しい?

駒が前や後ろに反っていませんか?
反ってしまった駒

ヒドく反ってしまった
チェロの駒の例

駒が傾いている・軽く反っている場合

軽く傾いている場合は指で引っ張って元に戻すことができます。直し方は以下の項目に記してあります。軽く反ったままでも放っておくと反りはどんどん進みます。早めに修正しましょう。

駒がひどく反っている場合

交換、もしくは駒に熱を加えながら力で矯正して元のように戻すことが必要です。専門の技術者に相談しましょう。
 
 
 
 

弦が通る溝

バイオリン駒

バイオリンの例

チェロ駒

チェロの例

弦が駒にめり込んでしまっていると駒によって弦の振動が止められてしまいます。また、弦が駒にめり込み過ぎたり、弦と駒の摩擦が大きいと駒は弦によって傾きやすくなります。
溝は弦の直径の1/2~2/3ほどの深さで弦は駒の曲線上に飛び出すことになります。
弦が駒に食い込んでしまった場合は駒の修正、場合によっては駒の交換が必要になります。
 
 

駒の角度を直す~バイオリン・ビオラ~

たいていの場合は調弦により駒は前方に引っ張られて指板側に傾くことが多いです。このような場合は以下の手順で角度を修正します。

①いすに腰掛け楽器を膝の上に乗せます。
②駒の足にテールピース側から親指を添え、指板側から写真のように人差し指・中指を添えます。
③親指を動かさず駒足を支え、人差し指と中指で指板側から徐々に力を加えながら後方に傾きを変えます。
④駒が後方に傾いた場合は、人差し指・中指で前方より駒の足を支え、親指を後方から弦の下にくぐらせて駒上部を徐々に前に移動させます。
駒が動きづらい場合はうごかす前に弦が通る溝に鉛筆の黒鉛を塗って滑りをよくしておきます。
 

駒の角度を直す~チェロ~

たいていの場合は調弦により駒は前方に引っ張られて指板側に傾くことが多いです。このような場合は以下の手順で角度を修正します。
テーブルの上にバスタオル・スポンジシートなどを敷いて動かないように楽器を寝かせます。

前方から後方に角度を変えるとき

写真のように駒の足にテールピース側から親指を添え、指板側から中指と薬指を添えます。人差し指で指板側から徐々に力を加えながら後方に傾きを変えます。
 
 
 
 

後方から前方に角度を変えるとき

エンドピン側に立って駒を調整します。親指以外の指を駒の指板側から駒に添えて親指を裏面(テールピース側)に添える。親指でゆっくり力を伝えながら前方に駒を傾けます。

 
汚れのお手入れ

楽器は演奏すると松ヤニや手の汗や皮脂が附着します。放っておくと楽器にこびりついたり、弦の劣化を早める原因になります。楽器を弾いた後は奇麗にこれらを落としておくことが望ましいです。
 
用意するもの
・タオル、手ぬぐい、布巾などの布2枚
・幅10~14mmくらいの平筆(バイオリン、ビオラの場合)
布は汗拭き用と松ヤニ用です。工房ではホームセンターで売っている食器用布巾を使っています。タオル地なので吸湿性がよく楽器表面にも優しいです。用途に合わせて色分けしておくと便利です。筆は布の届かない所への「ハタキ」に使います。
 
 
 

松ヤニを落とす

演奏した後は弦や楽器についた松ヤニの粉を「払い」ます。
松ヤニ用の布で力を入れずに軽く楽器本体や弦についた松ヤニを「払い」ます。強くこすってはいけません。松ヤニが摩擦の熱で溶けて楽器表面にこびりつく原因になります。 音を立ててこすってはダメです。
筆を使って駒、指板の下と上、f字孔の断面、テールピースの下、アゴあての下など布が入らない所の松ヤニを払います。
演奏するたびに払い落としても松ヤニを完全に、完璧に取り去るのは難しいです。長い間使っていると汚れが積もってきます。そんな場合は専門の技術者に楽器のクリーニングを依頼するのをお勧めします。
積もった汚れを取るにはクリーナーなどが必要です。市販のものもありますが、楽器のニスによっては適さないものもあるので使用には注意が必要です。初めての場合は専門の技術者に相談するのをお勧めします。
 
 
 

汗・皮脂の汚れを拭く

 
弦を指でずらし手汚れが目立ってきたら掃除します。キッチン用洗剤を水で10倍くらいに薄めます。これをティッシュペーパーやキッチンペーパー(エンボス加工のものがオススメ)に少し浸します。水が滴るほどに濡らしてはいけません。楽器本体に洗剤がかからないようにします。ニスに付着して放っておくと変色をきたす場合があります。楽器本体に洗剤がついたらすぐに拭き取ります。
 
弦は一本ずつ外して掃除を行います。洗剤を浸したペーパーを折って弦の下を拭きます。洗剤が残らないように洗剤で濡れた部分は乾いたペーパーで綺麗に拭き取っておきます。弦一本分拭き終わったら、弦を張り戻して別の弦の下も同様に掃除します。皮脂は水溶性なので洗剤などの界面活性剤に容易に溶けます。落ちない場合は松ヤニなどの非水溶性の汚れです。気になる場合は専門家に相談しましょう。
 
 
 

汚れケア用のアイテム

楽器拭き用クロス

吸湿性が良かったり、汚れ拭き取り効果の高い特殊な化学繊維やシリコンなどを含んだ楽器用クロスも市販されています。汚れを拭き取るという点で使いやすいですが、楽器表面を強く擦りすぎるとニスを痛めることもあります(特に天然樹脂を使ったニスで塗装されている場合)。汚れが簡単に落ちない場合は専門の技術者に相談するのをお勧めします。

クリーニング用ソリューション

楽器クリーニング用のソリューション(液体クリーナーなど)が市販されていますが、使用する時には楽器と相性が合うか専門の技術者に相談されることをお勧めします。楽器によっては塗装してあるニスと相性が悪く表面を痛めてしまうことがあるからです。このような質問をよく受けますが、すべての楽器に問題なく使えるかどうかは責任を持てないので当工房では楽器を見ながら回答させて頂いています。

中敷き・インナーバッグ

バイオリン・ビオラの場合、楽器ケースの中に弓をおさめると楽器本体の近くに位置します。楽器移送中に弓についた松ヤニがケース内で飛散し楽器に降り掛かりますので、楽器の上に載せる中敷き(ブランケット)やインナーバッグ(保護袋)を使うことで松ヤニの付着を防ぐことができます。中敷きやインナーバッグがない場合は薄い布などで楽器を巻いておくと良いです。

 
弓のお手入れ

弓
演奏が終わった後は 必ず張った毛を緩めておきます
さもないとスティック(竿)の「反り」が戻ってしまいます。
弓には毛を張った時にバネが利くようスティックに「反り」がつけられています。
これは毛を張った時にしなるのと反対方向の反りです。反りはスティックを熱であぶって曲げることによってつけられています。毛を張って反りが戻る方向に力が加わったままだと反りがつく前の状態に戻ろうとします。余計な力がかかるぶん横方向に反ってしまうこともあり、左右対称ではなくなってしまいます。ですから弓の反りの状態をキープするために常に毛を張ったままにするのは良くありません。
 
 

弓の汚れのお手入れ

手の汗や余分な松ヤニは払います。

楽器を拭くのに用意した布(汗用)を使って手の触れる所についた汗を拭きます。
毛には松ヤニがついていますが、目立って松ヤニの粉が飛ぶほどついている場合は払います。過剰に粉末状の松ヤニが弓がついているとケースに入れて持ち運ぶ時にケースの中で松ヤニが飛び散ることになり楽器本体に降り掛かり、楽器を汚してしまうことになります。
 

アジャスター(ボタン)のお手入れ

ボタンのネジを緩め続けるとフロッグがスティックからはずれます。ボタンの雄ネジはフロッグについたアイレット(雌ネジ)を通してフロッグの位置を調節します。ですからこのメカニックな部分の接触がスムーズでないとボタンの回転が硬くなります。フロッグは演奏中常に手で持つので手の汚れがたまりやすいです。たまにはフロッグをスティックから外してスライド部分に入り込んだ汚れを拭き取ってあげましょう。
 

潤滑を良くする

雄ネジのシャフトにロウソクの蝋(パラフィン)を塗ります。グリスやオイルなどの潤滑剤を塗ってはいけません。木にしみ込むとスティックを悪くすることがあるからです。同様にフロッグのスライドにも蝋を塗ります。
スティックの端ボタンの当たる所には石けんを塗ります。ボタンの回転の潤滑をよくします。
 

それでもボタンの回転が硬いとき

すぐに考えられるのはアイレットの穴の位置とスクリューの位置が合っていないのかもしれません。
アイレットを時計周り、または反時計周りに半回転させてみてアイレットの位置を変えて試してみます。
フロッグをスクリューから外したらスクリューの端先をアイレットにいれて回転させます。
スムーズにフロッグが動く様になったらOKです。抵抗を感じる場合は穴の位置が高過ぎ、または低過ぎです。それでも調子の悪い場合は専門の技術者に相談することをお勧めします。
アイレットは消耗品です。使っているうちに摩耗してスクリューがしっかり噛み合なくなったり緩んでフロッグがガタつくこともあります。そんな場合は交換が必要です。
 

毛替え

弓の毛替え
弓の毛は演奏による摩耗、引っ張り続けられることによる弾性の低下によって使うたびに劣化する消耗品です。
弓の毛がくたびれてくると松ヤニを塗っても弦へのひっかかり(吸い付きともいえます)が悪くなります。また、伸びてくるとフロッグをより後方に移動させないといけません。よってバランスの位置が若干変わります。

毛替えはいつすればよい?

極端な話ですが、弓にある程度の毛があれば楽器は弾けます。しかし、常日頃から使い続けていると毛が徐々に劣化してもその変化には気づかないものです。毛替えをしてみて「あぁ、弾きやすくなった!」と感じた方も多いのではないでしょうか。
毛の劣化は弓の使用頻度、毛の特性によって異なります。ですので、演奏者自身でルールを決めておくのがよいと思います。例えば以下のようにです。
  1.期間を決めて定期的に行なう
  2.毛を張った時のフロッグの位置が後ろの方になり過ぎたら
  3.松ヤニで毛が汚れてきたら
もちろん、
  4.思い立ったとき(=気分転換)
でもよいと思います(^^♪
演奏する方の楽器を弾く時間によっても毛の劣化具合は異なるので一概に「○ヶ月ごと」とは言い切れませんが、使っていなくとも毛は劣化するので少なくとも1年に一度は交換した方がよいと思います。たくさん練習される方はそれより頻繁に行なう方がよいと思います。

弓の毛と湿度

湿度が増してくると毛は伸びます(人間の髪の毛と同じように)。ですので梅雨時期になるとたいていは毛が伸びた状態になります。毛替えをするには良いタイミングですので6〜7月頃を基準に頻度を決めてみては如何でしょうか?
逆に乾燥する冬の季節は毛が縮みます。アジャスターを緩めていても、毛が縮んでしまうと毛を張りっぱなしにしているのと同じような影響を弓の竿(スティック)に与えてしまうことがあります。12~1月頃も弓の毛替えにオススメの時期です。
 
弓の毛替えのお値段は➡コチラ

弦の選択

どんな弦を張りますか?

弦は音の発振源です。弓の毛の摩擦によって生じた弦の振動は駒を伝わって楽器の響板(表板)を振動させ魂柱、横板、ブロックを通して楽器全体に伝わります。楽器本体が如何にすばらしい物であっても音の発振源である弦があなたの気に入ったものでなければ、それは気に入らない音が増幅されて生じることになってしまいます。


弦の選択はとても重要です。

弦の素材(音色の好み)、弾き易さ、楽器との相性、どんな曲を演奏するか、それから値段!など弦を選ぶのに検討する要素はたくさんあります。
そして弦の選択の幅はとても広いのです。最近ではとてもたくさんの種類の弦が開発され販売されるようになりました。100年前では考えられなかったことです。
100年前はまだバイオリンのE線でさえ金属弦は広く利用されていませんでした。当時広く流布していたのはガット弦だけだったのです。金属弦でバイオリンのすべての弦に使えるものが出始めたのは1920年ごろからです。ナイロンのような化学繊維の弦が出始めたのが70年代、金属の精錬技術が高まってタングステンのようなレアメタルを用いた弦が出始めたのが90年代。
21世紀に入ってから弦メーカーは金属、合成繊維、ガットいずれの素材を用いたものでも素材や特徴を代えて新製品を開発してきました。もはや選択肢は多すぎるほどです。

 
どんな弦を選ぶ?

まず最初に弦の選び方は個人の自由であり、重要なのは好みの音が出て、弾き易く、楽しく演奏できることです。弦の種類は大きく3種類に分類できます。

・ガット弦
・合成繊維(ナイロンなど)弦
・金属弦

それぞれ特徴、長所/短所があります。以下におもな特徴の違いをまとめました。参考にしてみて下さい。

 弦の種類と特徴

弦の種類 ガット弦 合成繊維弦 金属弦
音色/特徴 ふとく、芯のある音。

本来、擦弦楽器にはガット弦が用いられておりオーセンティックな素材。合成繊維弦、金属弦はガット弦の短所を補うべく開発されたものである。
使われている素材により音色、感触が異なる。

ソリスト向けから合奏者向けまで演奏するジャンルや好みに合わせて弦を選択できる。
ガットや合成繊維弦にくらべて一般的に音色は硬く"金属的"。しかし、近年開発された弦には柔らかさしなやかさが改良されたものもある。

チェロは金属弦が主流になってきている。
安定性 湿度温度の影響を受け安い。

張り替えてから安定するまでに時間がかかるが良い状態は長持ちする。
 湿度温度の影響を受けにくい。

弦を張替えてすぐ安定し易くまた比較的長く同じ状態で使える。
湿度温度の影響を受けにくい。

弦の寿命に近づくと音の質が急に劣化し易い。
使いやすさ

安定性を考慮すると中、上級者向け。 使い易い。

初心者から上級者まで楽に使える。
調弦の"ツボ"が狭く、正確に調弦をするにはアジャスター(ネジ式の)取り付けるのがベター。

バイオリンではe線以外は音色、感触の点で演奏者の高い要求に答えるのがむずかしいかな?
 価格 比較的高価 安価なものから高価なものまで多種多様 比較的安価

しかし近年開発されたレアメタルを使うものは高価なものも

 
篠崎バイオリン工房では多くのプレーヤーに愛好されている弦を用意しております。取り扱いのある弦につきましては下記の表をご参照下さい。掲載していない弦も常時取り寄せ出来ますので、工房までお気軽にお問い合わせください。

 お取り扱いのある弦

弦の種類/楽器 バイオリン ビオラ チェロ
ナイロン弦
シンセティックコア弦
ドミナント
ドミナント・プロ
インフェルト赤
インフェルト青
ヴィジョン
エヴァ・ピラッツィ
エヴァ・ピラッツィ・ゴールド
オブリガート
トニカ
ラーセン
ピーター・インフェルト
ドミナント
エヴァ・ピラッツィ
オブリガート
ラーセン
ドミナント
オブリガート
ガット弦 オリーブ
オイドクサ
パッショーネ
オリーブ
オイドクサ
パッショーネ
オリーブ
オイドクサ
ピラストロ・ゴールド
パッショーネ
金属弦
E 線
ヘリコア
クロムコア
ゴールドブロカット(E線)
ヒル(E線)
ゴールデン・スパイラル(E線)
プレリュード
ヘリコア
ヤーガー
スピロコア
ヤーガー
スピロコア
エヴァ・ピラッツィ
ラーセン
ヘリコア
分数弦 ドミナント
ヴィジョン
トニカ
クロムコア
ヘリコア
  ヘリコア
プレリュード