アウグスト・ポッラストリ（1887-1927）はイタリア・ボローニャで活動していたヴァイオリン・メーカーであり修復家、ディーラーです。１０代の頃からラファエッレ・フィオリーニの工房でお使いから勤め始めて、１７歳の時には工房長になるまで実力をつけてきました。その３年後、ラファエッレが引退するとき彼は独立して弟のガエタノと自身の工房を開きます。活動の最盛期に40歳の若さで亡くなり作品は多く残されていませんが１９世紀後半から２０世紀初期にかけてのエミーリア・ロマーニャ州における代表的なヴァイオリンメーカーです。ポッラストリ工房ではその後弟ガエタノが引き継ぎ１９７０年代まで制作活動を行っています。

1906年以降彼は特徴的な彼自身モデルで楽器製作をはじめこの楽器はそれを手本に作りました。全体のフォームはストラディウ゛ァリなどの均整の整ったモデルに比べて、ややずんぐりしていてちょっと田舎っぽい感じですが、「食の宝庫」であるエミーリア・ロマーニャの趣が感じ取れます。
この楽器はモデナのフリニャーニ工房で作りました。そこで指導を受けたロレンツォ・フリニャーニは1970年代にボローニャで製作学校の教鞭をとっていたオテロ・ビニャーミに製作を学んでおり彼のアイデアを取り入れて製作しました。もちろん、多くに製作家がそうであるように独自の工夫とアイデアを盛り込んで楽器製作を行っていますが、幸運にもボローニャの隣町モデナで製作を行なうことができたのでそれらすべてに対するオマージュを込めて作りました。